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本川起業’s Bar 第28回目【前編】 
ゲスト : 株式会社晃祐堂 取締役社長 土屋 武美 さん 

  • 2021年08月02日

起業’s Barインタビュー 起業ストーリーを先輩経営者から学ぼう!

「本川起業’s Bar」は、毎回ゲストをお呼びして、起業にまつわる様々なエピソードを伺い、経営者マインドを学ぶ会です。
 いつもは、動画で配信していますが、第28回目は、音声の調子が良くなかった為、書き起こしを配信します。

 前編は、土屋さんの事業の取り組みのお話が中心のお話となっています。

【山崎】 こんばんは、ファシリテーターを務めます株式会社ペタペタの山崎幸枝と申します。
     今日はよろしくお願いします。では、土屋さんの事業内容お伺いできればと思います。

    <自己紹介と株式会社晃祐堂について>  
【土屋】 宜しくお願いします。
     まずは、自己紹介から、株式会社晃祐堂(こうゆうどう)取締役社長の土屋武美と申します。
     1974年生まれで、キティちゃんと同級生で、47歳になります。笑
     私の出身は広島ではなく会津地方でラーメンが有名な場所福島県喜多方市になりまして、小学校時代、
     親の仕事の関係で台湾に住んでいたこともあり、大学は中国語を専攻しました。
     卒業後は、今の晃祐堂とは違う平河ヒューテック株式会社という電線や光ファイバーを作る会社でアジア圏に
     人材がほしかったということで、新卒で採用していただきました。
     そこで、工場勤務等を経て色々勉強させてもらって、いざ海外駐在の打診があった際に、嫁に相談しましたら、
     実家の家業を手伝ってほしいとなり、海外駐在の話は断り、会社も辞めて、
     現在の晃祐堂を手伝うことになりました。
     嫁とは北京留学中に知り合いまして、それまでの私の広島のイメージは任侠映画の影響もあってか、危ない街、
     怖いイメージがありました。笑 
     
     実際に来てみると、義理人情に厚く、とても面倒見の良い人が多いと感じています。
     さて、本題の、晃祐堂での事業についてですが、創業は1978年、嫁が誕生した年に、
     義父(現会長)が立ち上げ現在に至ります。
     事業所は熊野に工場が3か所、東京に1、中国に3、ベトナムに1か所あります。
     なぜ海外にあるかというと、筆は動物の毛を使っており、原材料は主に中国です。
     それを加工するための工場になるので海外、特に中国が多いです。
     理念は、筆を通して世の中に笑顔と喜びと勇気を与えられるよう、色々と活動しています。
     事業内容は、主には書道筆の製造と販売が中心となっています。
     日本には伝統工芸品を扱う伝統工芸士が230名ほどいらっしゃる中で熊野にも20名。
     うち、晃祐堂に2名の伝統工芸士が在籍しています。親子で継承される方が多い中、弊社晃祐堂の社員で1名
     (小鳥田晃祐さん)は、珍しい例だと思います。
     彼は55歳までマツダに勤められていて、そこから伝統工芸士となり、
     現在80歳を超えられても現役で頑張っていただいています。

     
     

     もうひとつの事業が、化粧筆の製造と販売です。2004年から、他の筆屋さんがやっていないことも始めよう
                  ということで始めた事業で、色々と賞もいただきました。
     直近では、G7の外相会合のお土産として弊社の熊野筆が選ばれました。 

     <0から化粧品市場を切り開く>     

【土屋】 書道筆から始まり、今は化粧筆がメインになっています。
     結婚当時は、半々の事業展開でしたが、現在は化粧筆の方が多いです。
     そこから、さらに、いいものと何かをくっつけようと考えました。
     実は、書道筆は製造工程が約70あるのに対して化粧筆は約30工程で、倍半分違います。
     なので、最初は半分の工程の化粧筆なら簡単に出来るだろうと考えていました。

     ところが、実際に事業を始めてみると、作り方も、販売方法も全然違うわけです。
     例えば書道筆は伝統的な工芸芸術品なのでお客さんもそこを理解して買ってくれています。
     一方の化粧筆は工業製品に近く、同じ製品レベルで数も作らないといけないので、書道筆とは全然違いました。
     化粧筆を始めた当初はお客さんゼロからのスタート。
     最初の1年は売上が100万円前後で、事業としては全くやっていけない感じでした。
     そこでいいモノと何かをくっつけようという企画を考えて、最初は丸い洗顔ブラシの毛先を、
     ハートやお花の形にしていきました。
     可愛いものに人は関心を持つという特性を実証する実験的な形ではじめました。

     熊野筆は、伝統工芸品で、堅いイメージがあり、最初にハートやお花の洗顔ブラシをつくったときには
     批判もありました。
     ですが、新しいことも始めないと熊野筆自体が衰退していくばかりで、世界に知らしめることが出来ない。
     「伝統は守るものではあるが、縛られてはいけない」という考えを持って進めています。
     この考えは、常に晃祐堂の中心にある考えとなっています。

     

     晃祐堂の商品説明には、広島レモンチークブラシや、森をイメージしたブラシ、くまモンや、リラックマの
     ブラシがあります。
     くまモンのブラシは印刷で無く、金太郎あめのように毛を植えてあり技術を職人技の商品です。
     現在は、コロナ禍で化粧筆よりも、ボディーブラシや洗顔ブラシが新しい生活様式に合って、すごく人気で、
     一時は在庫切れの時もありました。
     弊社は義理の父である会長と、私と、義理の弟で副社長の3人で商品の開発をしています。
     意見が対立することもありますが、建設的な対立だと思っていて、商品を常にブラッシュアップしています。
     (ちなみに、ハート型のブラシは会長の提案なんですよ。)
     異業種交流のコラボにも力を入れていて、書道筆から、化粧筆、洗顔ブラシに続き、最近一番好評だったのが 
     靴を磨く、シューケアブラシでした。 
     靴革は人間の肌と似ていて、シューケアクリームも化粧品に似ているんです。
     実際には顔にも使えるくらいやわらかくて、靴がピカピカになります。
     
     

     <ブランドストーリーとワークショップ 地域体験型【思い出を売る】>  
     あとは、観光事業も始めており、熊野筆の良さを知ってもらうため、海外にも出向き筆の啓蒙活動を
     やっています。
     また、熊野町には化粧筆工房という場所があり、そこで、観光に来られた海外のお客様に筆の歴史、
     ストーリーも含めて筆づくりを体験してもらい、
     面白かった思い出を自国で広めてもらうという目的で観光拠点として活用しています。
     何故、こういうことをやっているかというと、広島県の中でも、広島市内や宮島、尾道といったメインの
     観光場所以外にはなかなか人が出向かない 
     熊野町もそうで、なかなか足を運んでもらえないんです。
     そこで、考えたのが、<伸びシロ大の広島を、もっと盛り上げよう。という企画です。
     自分は他県出身なので、広島の良さがよくわかるんです。
     海があって、山があって、人も良くて、こんな住みやすいところないって。なのに、
     なぜ人が来ないのかな?と考えると
     平和公園や宮島という大きい観光地以外は、小さな場所が分散している感じなんですね。

     

     それで異業種の友人と考えたのが、地域で連携して大きいコンテンツとしてとらえる企画です。
     例えば、八天堂さんでクリームパンを作り、西条の加茂鶴で酒造り見学して、熊野で筆作り体験、
     最後に広島で夜景を見るという観光体験コースです。今はコロナで難しいですが、
     その分話を聞いてもらう時間が取れていて、今年に入って6社の旅行会社と提携することになりました。
     コロナさえ終われば、すぐ始められるように動いています。
     あとはオンラインの旅行なども企画中ですね。

     何にでも言えますが、一人で動くのは早いんです。でも一人には限界がある
     なので、早く行きたければ一人で行け。遠くまで行きたければみんなと行け!。という言葉を掲げ、
     社内だけでなく異業種の仲間達とも交流を深めています。
     

      以上で私の事業の話は終わります。ご清聴ありがとうございました。

       本川起業’s Bar 第28回目【後編】につづく

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